BOOKS
Vol.11
吉田 太郎 カメラを持って外に行きたくなる本
1960年の日本デザインセンター創業時から社員に親しまれ続けている資料室。
その約2万冊の収蔵本の中から選んだ10冊をお勧めする
「ライブラリーのおすすめ本をシェアするプロジェクト」
第11回目は、吉田 太郎(画像制作部部長 チーフフォトグラファー)が選んだ10冊です。
1
Herb Ritts
“Africa”
ハーブ・リッツの撮ったマドンナの写真、大好きです。どうすればカッコよく撮れるか、カッコいいってのが何なのか、ハーブ・リッツは絶対、知っているはず!この写真にスターは写っていないけど、でもカッコいい。特にカバすごいです。
2
高梨 豊
『都市へ:高梨豊作品集』
大学で高梨先生に教わった事はぼくの人生の中でもとても大きな出来事の一つとなっています。当時2台のライカに35mm、50mmを付けて東京を撮る姿はすごくかっこ良かったなあ。この「都市への」写真の緊張感、たまらないです。カメラはウェポン、撮影は戦闘。そんな気配を感じます。
3
早崎治
「早崎治広告写真術」
広告写真家・早崎治氏の思いが書かれています。その言葉は今の時代だからこそ強く響いています。指1本で撮れる写真とプロの撮る写真の決定的な違いがこの本を読むと分かります。フォトグラファー以外の方も是非読んでください。
4
Annie Leibovitz
“A Photographer’s Life: 1990-2005”
アニー・リーボヴィッツの写真からは言葉や音楽、サウンドが聞こえてくる。たとえば、ヨーコの耳元であの声でささやくジョンの声とかね。まるでアニー・リーボヴィッツはミュージシャンで、カメラは楽器。いやいや、やっぱりカメラは彼女の目なのだろう。フォトグラファーの目が被写体のどこまで見ることが出来るか、その奥深さが視覚だけではなく、ぼくの聴覚も刺激してくれるのだろう。
5
Richard Avedon
“Evidence 1944-1994”
何が面白いって、アベドンの逸話。ADがアベドンにアイデアを言おうとしたら、スタジオから追い出された話とか。スタジオの別室で床一面に画集や写真集を広げて頭を抱えているアベドンを見た話。アベドンでも悩むんだ。ちょっとホッとしつつも、やっぱり天才はちがうと思ってしまう。天才はこんな風に悩むんだ。アベドンのすべてが好きで全てがすごい。
7
エリオット・アーウィット
『エリオット・アーウィット集成展、personal exposures』
え?なんでこんな写真撮れるの? 初めて、エリオット・アーウィットの写真を見た時のぼくの感想。実はその写真のほとんどが執念の1枚だということを後で知りました。それでも何で撮れるのだろう……楽しくて、おかしくて、幸せな写真。いやぁ写真っていいよなぁ。
8
Andre Kertesz
“Kertesz on Kertesz : a self-portrait”
僕が好きなのは、壁をバックに鳩が飛んでいる写真。この写真を撮るために何日もこの場所に通ったそう。写真ってそうやって撮るんだよな。大学の時ケルテス展で本物のケルテスに会えた事は僕の自慢の一つ。
9
Jeanloup Sieff
“Jeanloup Sieff 1950-1990 : time will pass like rain”
シーフの写真はとても構成的で、スナップでも、ちゃんとデザインしている。被写体同士の関係や、形状など。ワイドレンズで切り取られたシーンの数々はとても美しい。それにしてもシーフの写真を見ていると、ライカのスーパーアンギュロン21mmF3.5が欲しくなる病が再発してしまう。たちの悪い病なので皆様ご注意を!
10
Winston O. Link
“Steam, steel & stars America’s last steam railroad”
ぼくは鉄道ファンというわけではないけれど、この写真集は大・大・大好きです。全ての写真が1チャンス4×5 1枚で撮られています。写真のパワーが違います。そもそもフォトグラファーの仕事ってこんなだったなぁ……なんて物思いにふけりつつも、とりあえず写真撮りに行くか!となる写真集。